「写実絵画ってぶっちゃけ写真でよくない?」の真相

 こんにちは、美術という沼から足が抜けません。ゴリアテです。

 

 

「写実絵画ってぶっちゃけ写真でよくね?」

 

 

 

この話題、美術系の界隈にいると必ず耳にしますねそれはもうウンザリするほど

 

写実絵画っていうのはリアルな絵のことです。

もう初っ端から本題に入りますが、リアルな絵って必要だと思います?

 

 

いや~、今ってすごいですよね!お手軽に、しかもスマホでもかなり高画質に!且つ編集もしっかりできちゃう時代!便利!感動!

今回はそんな便利な時代に写実絵画って必要なの?って話をしていきます。

 

「今の時代、写実絵画って必要?」

 

結論から言うとこれは圧倒的に

愚問

以上です。

 

 

えっちょっと待って?どういうこと?

すみません、いきなり「愚問!」の一言で終わらせるのはあんまりですよね;失礼しました。

 

愚問!」というのにもきちんとしたワケがございまして、それを知ってくだされば「確かに愚問だわ」と感じていただけると思います。

  

では最初に、なぜ写実絵画が生まれたのか…ちょっとした歴史の話をしますね。

 

写実絵画の原点

ウオオオオオーーーー!!

絵画の原点は壁画だ!!ラスコーだァァ!!

 

 

 

 

安心してください。そこまで遡はりません。

難しい話は省きましょう。

ディエゴ・ベラスケス「マルガリータ女王」
 
フランシスコ・デ・ゴヤ「大聖グレゴリウス」
 
ヤン・フェルメール「牛乳を注ぐ女」
 

写実って聞くと多くの人はこういうのを思い浮かべると思います。

 

 

写実描写というものはこれらの絵画たちのように、王族や貴族の肖像画、神話のある場面だったり、当時の文化や生活など…もともとはそういったものを記録し後世に伝えていくために存在していまいた。

 

故に、より鮮明に記録するため、リアルに描く技術が求められていたんです。

 

 

 

お察しのとおり、そこに超お手軽に記録ができる写真という技術が生まれまして、記録するためにあった写実絵画は写真に役割を丸ごと奪われるカタチとなりました。

 

…そう、こういった経緯で「リアルな絵を描くなら写真でいいじゃん」的な考えはうまれたわけです。

 

 

 

さて、ここまで聞いた感じだと「じゃあやっぱり今の時代、写実絵画って意味なくね?」って話に戻ってしまいます。しかしながら、先程も言った通りこれは愚問です。

 

ここからが本番ですぜ…

写真には写真の良さ、写実絵画には写実絵画の良さがある

写実絵画はもともと記録するためのものだったとお話ししました。

 

さて、ここで一度考え直していただきたいのが

今の時代、写実絵画も写真も記録するためだけのものですか?

という点です。

 

 

 

 

 …違いますよね?

 

二つとも、それぞれ芸術作品として確立し、世に出回っているはずです。

 

写真作品にはその瞬間にしか捉えられなかったものを見事に捉えている用意周到さ、または技術自体の凄さ。

写実絵画には圧倒的な描写力、魅せたいところも自由自在!何より手描きでそこまで描いてしまう凄さ。

つまり、それぞれの作品を前にした時の感動の仕方が明らかに変わってきます。

 

 

そうです。ここで何が言いたいかって今の時代、写実絵画か写真かなんていうものは…

ジャンル自体が圧倒的に違うんです。

 

確かに視覚芸術という点では同じでありますが、彫刻には彫刻の表現の幅、絵画には絵画の表現の幅があるように、写真には写真の幅、写実絵画には写実絵画の幅が存在します。仮にダンスの絵を描いたとして、「そんなにダンスを表現したいんなら実際にダンスすればいいじゃん。」なんてツッコむのもお門違いというものでしょう?

 

 

表現の仕方によって、それぞれ違った味わい深さを持っているものなのです。それが芸術です。

(たまに「日本には味という都合のいい言葉が~」なんて言ってる人もいますが、せっかく日本人にある感性なのに使わないほうがもったいないじゃないですか。もはや日本で絵における「味」という言葉を独占してしまいたいくらいだ。)

「写実絵画って写真でよくない?」なんて、好きでラグビーやってる人に「勝利が欲しいならサッカーでよくない?」って言うようなものです。これはラグビーやってる人にもサッカーやってる人にも非常に失礼ではないですか。

 

 

それを踏まえるとこの問題って、

愚問そのものでしょ?

 

ちょっと余談

 

ここまで言っておいてなんですが…

実は「それやるんだったら写真撮るだけで解決するじゃん」って絵は存在します。はっきり区別はつくのでご安心を。その絵とは…

 

 

「何がしたいのかわからない。」

「この絵で何が言いたいの?」

と言われるような絵が該当します。いわゆる「彷徨っちゃってる絵」です。

本当に技術がないだけなら上手くなればいい話なのですぐ解決できるんですけど、「なんとなく」でこれをやっちゃってる人はすぐに直した方が良いです。

 

これにいたっては写実系を描かれる方に限りませんすべての創作者はここを注意すべきと言ってもいいでしょう。重要なのは作品の「狙い」です。しっかり定めるようにしましょうね!それはもうプロのスナイパーのように!

 

ちなみに、ときどきデッサン写実絵画を混合する人がいますが、この二つもまた別物ですぞ。デッサンはあくまで「見る力のトレーニング」ですからね。

 

 

では、今日はこの辺で!

よきアートライフを!

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